読書日記

山田詠美、『雨の化石』より。
「ぼくは、自然を愛するように、女の人を愛することが出来ないのに、気付いていた。僕は彼女が欲しかった。ただの心地よい感傷を楽しむためにではなく、自分だけに、さまざまな喜びを与えてくれるかけがえのない人としての彼女に側にいて欲しかった。彼女なしでは、自分はもう駄目になってしまうと思いつめた。ぼくは、憎しみという感情が大嫌いだった筈なのに、いつのまにか、彼女を自分のものに出来ない、与えられた状況を憎みかけていた。」
そしてぼくはあきらめるということを学んだ。
と僕なら続ける。

好きになったら仕方ない。諦めるより仕方ない。それで諦めぐせがついてしまうとしても。