読書日記

『おれという人間は、自分の一生というものの大体の算段をつけて生きている。なるほどおれの家は少禄だし、おれの藩は小藩だが、小藩なだけに将来、藩はおれにたよって来ることになるだろう。なるほど同じ一生を送るにしても、婦女に鉄腸を溶かしてしまうのも一興かもしれぬ。しかし、人間、ふた通りの生きかたはできぬものだ。おれはおれの算段どおりに生きねばならん』
その算段というのは、おそらく自分をして自分の中に英雄をつくりあげることを指すのであろう。
(司馬遼太郎、英雄児より)

自分の中に英雄をつくりあげること、とはなんということだろう。「英雄である」「英雄になる」ではなく、まず自分の心中に英雄をつくりあげること。
この生き方は強い。ぶれない。他人に惑わされず、世論に媚びない。自分なりの自分自身の英雄像を心中につくりあげること。これこそが若いうちにすべきことなのかもしれない。
誰かのようにではなく、自分の英雄を。大変な見聞と自身を信じる努力が必要だ。