茫然とする長さ

「もし私が自殺をしたら、両親が私の葬式を出すのだ。そう思うと、死ぬわけにはいかなかった。親孝行なんて、そう真剣に考えるタイプじゃない。だけど、親に子供の葬式を出させるようなことだけはしたくなかった。もし自殺するのなら、両親の葬式を私が出してあげてからだ。私はそう思った。
そうなると、少なくともあと20年から30年は生きていなくてはならない。そう考えて私は茫然とした。いったい、どうやって時間をつぶしたらいいのだろうかと。」(山本文緒・『今年はじめての半袖』より)
いやあ、山本文緒はうまい。全くもって快哉を叫びたい。
そうなんだよ!と。
茫然とする。どうやって時間をつぶしたらいいのかとね。まさにそうだ。
でも生きていなくてはならないのだものね。なら幸せになりたいものねっていうのはまた別のトピックだ。