友達日記

けんじくん。高校の同級生で。寮で最後の半年間同じ部屋で過ごした親友っていうか、僕の憧れの人。
高校の寮は執行部が部屋割りを決める。四人部屋だからこのメンバーは結構シビアな問題になる。ただし三年生だけは自分たちで勝手に仲良しで部屋を組んでよいことになってた。
その時期に何故か僕はけんじくんと一緒の部屋になろうみたいな流れになってた。はっきり言ってそこまで仲良かったわけじゃないし、第一接点がなかった。彼はバスケ部、僕はブラバン。クラスも同じになったことはないし(三年時は一緒だった)。
でも何故か一緒の部屋になった。隣の机で。彼は話が面白くていろんな話をしてくれた。面白いお父さんお母さんの話もしてくれた。けんじくんといて退屈することなんてなかった。テンパーで背が高くてヒョロっとしてた。
思いやりがあって優しくって、器用だ。いつも笑って嬉しそうに名前を呼んでくれるのがそりゃあ嬉しかった。今も嬉しい。
昨日は高校の同期生の大会で、帰りや移動はけんじくんの車に乗せてもらった。彼が僕を大切にしてくれる度に、かまってくれる度にありがたいなあって思う。こんなに素晴らしい友達がいるってだけで嬉しくて幸せで涙ちょちょぎれる。
失いたくないものを所有するという無謀。みたいなことを言ったのは江國だったか山田詠美だっか、山本文緒だったか。忘れたが。
確かに無謀だ。失いたくない。だからいつ失ってもいいように心の準備を心がけている。