いのちの手紙 箙田鶴子 千葉敦子

 重度障害者の箙田鶴子と、ジャーナリストの千葉敦子の往復書簡集。共に故人で残念です。箙(えびら)さんは高齢もあり、千葉さんはがんの再発で。「まったく価値観の違う、二人の女性の個性のぶつかり合い。」とは某サイトに書いてあったことだが、同感。往復書簡中でけんかもするし、すれ違いもある。だけども二人は諦めずに言葉を繰り返し一冊の本にまとめた。一人の重度身体障害者の障害者としての本音と、人生はどのような状況でも努力で切り開いてゆくものだとのジャーナリストとのぶつかり合い。障害に対しどう対するのか。箙さんの言葉は重たい。千葉さんの言葉も正しい。強い個性がぶつかり合い、考えされつつ、感心反省をくりかえし読み終わった。二人が歴史に残る偉大な一級の書き手というわけではないけれども、だからこそこの企画ゆえか非常にすばらしく胸に迫ってきた。