師弟観

戦国時代を茶に生きた千利休の晩年の弟子、本覚坊の日記という形で利休の生き様、茶の道、生きること、死ぬことを綴った小説。千利休は秀吉に自刃せよと申し渡され自刃するのだが、なぜそういう事態になったのかは明らかにはされていないのだが、井上靖は自分なりの理由を描き出している。作中でといてる師弟観には感心した。何でも師のいうことを聞く時期、一度師から離れること、もう一度師に従いつく、その中で自分の道を探すのだと。自分流というのは師から離れる期間がないと出来ないのだと。ただこの難しいところは一度師から離れたときに、大概の人が戻ってこれなくなることだと。うーむと唸ってしまった。この人も日本語がきれいな作家だ。