頭部

山形の空気は薄い。標高が高いからだろうか、常に息苦しい。少しはしゃいだだけで結構心臓が高鳴る。まさか恋かななんて思ってしまうほどに。そんな場所で先日教習で山を登った。延々と続く坂道。ぐるぐるぐる。
頂上に着く。いやあやっぱり寒いっすね、空気もずいぶん薄いみたいですね、なんて教官と一緒に缶コーヒーで一息つき、さあ車に戻ろうと踏み出した時足元が揺れた、コンクリートが顔に向かって伸びてくる。一瞬意識が飛ぶ。教官が僕の顔をのぞきこむ。
「おい!大丈夫か!」なんだ?すごく慌ててる、酸欠で倒れただけなのに。「全然大丈夫っすよ〜」と立ち上がろうとした時に教官が慌ててた理由がわかった。頭、右耳の上の部分から血が出てる。それも結構出てる。痛みは感じないのは何故だろうか。とりあえず病院にいこうと促す教官に従い、助手席に座る。ぽたぽた血がたれてくるので教官がネクタイで頭を軽くまいてくれた。あんまり高そうではないがなかなかセンスのいい緑のネクタイ。
着いたのは山形中央病院。かなりでかい。救急外来で受け付けを済ませ待つ。しかし昨日は体育の日で病院は休みのため頭の担当の医者がいないみたいで、詳しい検査は翌日ということでとりあえず頭の傷口を洗浄される。このころにはズキズキ痛んでいたのであまりにいたがる僕のために麻酔をしてくれたらしい、というのもそれ以降の記憶はふと途切れていたから。今はおそらく病院の個室にいる。




って妄想。