読書日記

マグネット 山田詠美
短編集だが一番最後に収められている「最後の資料」は山田詠美の義理の弟が病気で死んで行ってしまうことを題材にした、ほぼノンフィクションだ。その中で
『物書きになって、私は楽になった。それは、自分の身にどのような事件が起ころうとも、客観視する習慣を手にしたからだ。大丈夫、やがて作品に結び付く。そう自分に言い聞かせることで、どれ程の問題を片付けて来たことか。私が乗り越えて来たいくつかの出来事は、まさに「今回のケース」として処理されて来たものだった。』

大丈夫やがて作品に結びつく、はすごい言葉だ。芸術家だけの言葉として捉えたらもったいない。これは人の生き方だ。
何かあった時に「大丈夫、またこれで人の役に立てる」って感じれたら達人だ。
この生き方が人間の生き方だ。