メルヘン

この作家の力が遺憾なく発揮されいるのかもしれないと恐る恐る思わされる作品。妹の兄のことを思い出す話がところどころ脈絡なく挿入されるのだが、それがこの物語を膨らませている。世界が広がっていく。思いがひしひしと伝わってくる。本当にすきなのだなあと。この物語には悪い人は一人も出てこない。なのに人々は一生懸命に生きている、戦っている。なぜか悲しくなって暖かくなってしまうのは、この作家の特徴だと思う。