あまりにも短すぎる短編集なのに

この作家の作品はなべて短いが、その人が短編を書くというのだから興味がわく。あまりにも短すぎる短編集なのに、それゆえにか一つ一つの物語の放つ空気が濃い。短い言葉で世界を構成しなければならないからだろうかものすごく密度が濃いのだ。この話がいいというものはなく。ただ淡々と愛している人の空気、愛している人との生活が切り取られている。こんなものもあるのだなあ、うらやましいなあとおぼろげながら思わされた作品だ。