圧倒的力量

という言葉が一番初めに浮かんできた。うまい!とかおもしろい!とかでは言い表せられない。圧倒的力量。作者最後の書き下ろし小説にふさわしいレベルであると思う。人間の一筋縄ではいかない心の動きを彼女自身の言葉で表現し、しかもそれがひどく自然で。何がどううまくていいのかわからない。という状態になる。
「愛していたのに、本当に愛していたのに、愛に溺れるのが怖かったんだ。ただの女になってしまうと、私の使命は達成できないと思っていた」作中劇中のこの言葉はこの小説のテーマであると思った。女の生き方をつづり続けた作家の渾身の言葉。