人の愛し方千差万別?

結構長い作品だった。560ページはあった。舞台はアメリカ。
「人を愛した記憶はゴミのようには捨てられない。」というのがキーワード。例えそれが忘れたいものであっても。
主人公は男とその息子と同棲してる女性。人のことを思い、心配してしまう性分で同棲している男性とは愛し方にすれ違いがあり、互いに深く愛し合い必要としているのに傷つけあいつらい毎日を送っている。
ゲイでまっすぐな友人、職場の女友達、新しい恋人、男の息子との多くの気持ちのぶつかり合いや思いやりのある会話を通して、愛することの怖さ、すばらしさ、愛する人を持つということを語りかけてくる。
また「たったひとりの人間の気持ちを思いやれなくて、何故、大きな問題について語り合うことができるのか」という作者のスタンスも明らかに若さの傲慢さ、人の気持ちを推し量れないことの傲慢さ、そしてアメリカに潜む偽善性をも暗に非難している。私はそんな生き方はしたくはないと主人公に代弁させる。愛のつらさもすばらしさも友情の強さも作者が思っていることを存分にぶつけた良い作品。