悲しい話は道端に

悲しい話は道端に簡単に落っこちている。だろう。
山本文緒の短編集。前回も書いたことがあるが、この人は短編もすばらしい。
現代に生きている人はこの小説をきっと悲しく読むだろう。しかし、時代が違えば「くだらない!深い人間性を訴えられずになにが作家だ!」と嫌悪されるのではないか。現代の価値観の不在がこのような作家の人気の理由ではないか。
ただし恋愛の苦しさ悲しさ、また自分という人間への不信や惨めさを描くことに限っていうならなかなか力があるのではないか。読んだところで人生は変わらないが。暇つぶしだろう。